頚椎ヘルニアの症例

 

先日父親が鍼灸を受けに来てくれました。


身内なので施術内容を審らかにしたいと思います。






初診、9月7日。


男性、70歳、168cm、52kg、無職。


主訴、肩頚背中の痛みと痺れ。(左肩外兪付近、左肩中兪付近の動作時痛。就寝中の左第一、二胸椎の夾脊穴付近の痺れ。)






8月23日より肩が痛くて上がらない。痛みで夜中に何度も目が覚める。歩くとうずくまりたくなるほど痛い。椅子に座っていたりすると痛みはないが動くと痛みが出る。


過去に頚や肩を痛めたことはない。週に3回バドミントンをするが右利きだし左を痛めた記憶もない。


9月5日に整形外科を受診。レントゲンで第六、七頚椎の変形あり。おそらく変形による頚椎ヘルニアだろうという診断。確定診断のために翌日MRIの撮影。病院の休みの関係で結果が出るのが9月12日以降だということ。痛みがきついので結果が出るまで待てずに鍼灸を受診。痛み止めと湿布を処方されるが効果はない。


5月初旬より8月末まで船旅。船が寒かったせいか6月末頃より今日まで咳が出る。横になると痰(透明、やや黄色)が出る。


増悪因子。動作全般、入浴で温まる。


緩解因子。じっとしている、しかし寝ると痛む。


飲食。1日3食で野菜中心、甘いもの好き、コーヒー1日1杯、ビール1日350mlプラス日本酒1合。


二便。排尿は透明で就寝後1回あり、排便は1日1回問題はない。


その他の症状。手足特に足の冷え、寒がり、寒いと鼻水が垂れてくる。


性質。頑固、自分を曲げない、聞きたくないことは聞かない、言いたいことも言わない。


脈。弦。(浮もあり)


舌。胖大、湿潤。


体表観察。第六、七頚椎に変形。第四胸椎のずれ。全棘突起の不明瞭さ。左肺兪付近、左厥陰兪付近、列缺の陥凹。肩甲骨間、前腕肺経の軽い発汗。腹部右肺先、心領域の圧痛。


弁証。咳、痰、脈、体表観察による肺経の異常により、外感表虚が標で風寒束肺が本。素因に飲食による痰湿傾向あり。






初診、9月7日。


左肺兪、外関、大椎、身柱、右合谷。太淵、左大白。浮脈が取れた。腹部の圧痛も消失。






第二診、9月8日。痛みは変わらないが5時間は目が覚めずに眠れた。


脈弦。左肺兪、左厥陰兪、身柱、第六第七棘突起間夾脊、プラス左関衝に刺絡。太白プラス左後谿単刺。






第三診、9月9日。よく眠れた。夜中に二回痰が出た。起床後痛みはなくこわばり感が残る。


脈弦。左肺兪に斉刺、左厥陰兪、、右外関。左太白、太淵、列缺、尺沢。






第四診、9月10日。よく眠れた。夜中に三回痰が出た。痛みはないが風門付近のこり感がある。


脈弦。肺兪と風門に灸(左右差なくなるまで)プラス左少沢に刺絡。公孫、列缺に灸。






第五診、9月11日。よく眠れた。痰も出なかった。痛みもこり感もない。


脈弦。左肺兪と左風門に斉刺、身柱。太淵、右太衝。左肺兪と左厥陰兪の陥凹少し取れた。






第六診、9月12日。よく眠れた。痰なし。痛みもこり感もない。


脈弦。肺兪と厥陰兪に灸(左右差なくなるまで)。太淵、中脘、列缺。






以上で治療を終えました。その後も痛みは出ていないようです。


翌日9月13日にMRIの結果を聞くとやはり第六、七頚椎間の椎間板ヘルニアだそうです。


治療としては第一診で表虚が取れたのでその後は風寒を取りながら肺気を補いました。その結果痛みと痰と咳がなくなりました。


このことから椎間板ヘルニアと診断されてもそれ以外の原因を除去できれば痛みや痺れは取れるということがわかります。


今回の症例は父親ということもあって発症から日が浅く連続して施術ができたので良い結果が出ました。


椎間板ヘルニアの治療に手術は疑問があります。どうかみなさん早めの鍼灸を。






補足です。


左肺兪と左厥陰兪の陥凹と広がりが気になったので肺のレントゲンを勧めました。70歳という年齢も考慮して。


特に問題はなかったそうです。


本人には話していませんが年齢と所見を考えると肺がんの可能性も考えられたので。


それと脈弦が終始変わらなかったのは性質の所にも書きましたように頑固で自分を曲げず聞きたくないことは聞かず言いたいことも言わないという性質が要因だと考えます。ここまで脈が変化しない人は初めてでした。その性質からくる病気が気がかりです。ここは本人に伝えました。






読んでいただきありがとうございました。